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ウサギが大好きな、そしてビートルズをこよなく愛するミッドナイト・トラッカー、paulkoba のブログに     ようこそいらっしゃい♪


by paulkoba
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ビートルズのアルバム紹介 12

ABBEY ROAD (アビー・ロード)
ビートルズのアルバム紹介 12_c0055348_1747278.jpg
ビートルズの実質的なラスト・アルバムであると同時に、最高傑作、最高のセールスを記録した。タイトルが示すように、「レット・イット・ビー」 のセッションで使用したアップルのスタジオから、古巣のアビー・ロードにあるEMI に戻ってのレコーディングにもなった。この時期の4人はレコーディング以外は顔を合わせることもないバラバラな生活を送っていたが、そんな危機感はサウンドには全く見当たらない。
このアルバムも基本的にはポールの主導で作られているが、彼は悲惨な結果に終わった 「レット・イット・ビー」 のセッションを悔い、もう一度かつてのようにビートルズが4人そろってきちんとしたレコーディングがしたいと、ジョージ・マーティンを訪れた。その気持ちは残る3人も同じだったようで、1969年7月に集中的にセッションは行われ、その後ジョージ・マーティンによってオーケストラのパートがダビングされたのである。
このアルバムは飛躍的に音質が向上しているが、それは16トラックのレコーダーが導入されたためである。そして当時未来の楽器と称されていたシンセサイザーを、ビートルズはいち早くレコーディングに使用した。もちろん現在のシンセサイザーの性能とは比較にならないが、とにかく大きなユニットをスタジオに持ち込み、ポールが大いに興味を示した。
ビートルズ自身、このアルバムが実質的な最後のアルバムになると予知していたかどうかは定かではないが、収録曲はどれも完成された作品ばかりである。アレンジに関してもかつてのビートルズのごとく、緻密な計算がされ、一曲ごとに何らかの楽器が作品を引き締めている。「カム・トゥゲザー」 ではイントロのハイハットの音が印象的であり、「サムシング」 ではバックのキーボードが、作品をソフトなタッチに包み込んだ。「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」 ではシンセサイザー、「ヒア・カムズ・ザ・サン」 のアコースティック・ギター、「アイ・ウォント・ユー」 でのベース・ラインなどひとつの楽器を際立たせることにより、アルバム全体が非常にバリエーションに富んだ形となったのである。
そして注目すべきはジョージの存在だ。彼はデビュー以来、アルバム収録曲中2曲を与えられていたのであるが、ジョンとポールという偉大なるメロディー・メーカーのお陰で、作品自体が話題になることはほとんどなかった。しかし、「アビー・ロード」 でとうとう、ジョンとポールと肩を並べるに至った。このアルバムから唯一シングル・カットされたのは、「カム・トゥゲザー」 と 「サムシング」 のカップリングであるが、このシングルはビートルズ史上初めて、ジョージのオリジナル作品、つまり 「サムシング」 をA面とした。残る1曲 「ヒア・カムズ・ザ・サン」 も、ギターワークとあいまって出色の出来であり、リンゴの作品 「オクトパス・ガーデン」 のアレンジを担当したのもジョージである。
一方ジョンは 「アイ・ウォント・ユー」 「ビコーズ」 のように歌詞の簡素化が目に付き始めた。これはおそらくヨーコ・オノの影響であると思われる。解散後に発表した 「ジョンの魂」 で俳句に興味を示し、シンプルな詞を書いているが、すでにジョンは、日本文化を学んでいたようだ。
ところでこのアルバムのハイライトは、それまで誰もが考えようともしなかったメドレーである。ポールのアイデアであるこのメドレーは、未完成であった作品をあたかもひとつの曲であるかのように編集がされ、その結果、アルバムの最後ではシンフォニーのような盛り上がりを見せた。特に 「ジ・エンド」 における構成は、リンゴのドラム・ソロに入り3人の個性が発揮されているギター・ソロが聴ける。いかにもビートルズらしいアルバムのエンディングであった。
イギリスで19週間、アメリカで11週間トップにランクされた。
「アビー・ロード」 は、発売後3年間で全世界において900万枚を売り上げた。
(英国発売1969年9月26日/日本発売1969年10月21日)
by paulkoba | 2006-07-09 18:20 | ビートルズ画